検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
マクロファージの機能—肺胞マクロファージを中心として
大島 駿作
1
,
茆原 順一
1
,
黒住 眞史
2
1京都大学結核胸部疾患研究所内科学第2部門
2京都大学結核胸部疾患研究所臨床検査部
pp.1246-1250
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203898
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1892年Metchnikoffは,哺乳類の食細胞を分類するに当たって,急性炎症の際,食菌に当たるミクロファージ(好中球)に対して,慢性炎症巣に出現する食細胞をマクロファージと命名した.この名称は後世に引き継がれ,現在では細網内皮系に属する大型の食細胞の名称として使用されている.このマクロファージは生体内各所に分布し,形態は多様であるが,起源は主として骨髄に由来すると考えられている1).
マクロファージの機能に関しては古くから貪食能と遊走能を有することが知られていて,異物を除去し,殺菌を行うことから,感染防御に重要な細胞として位置づけられていた.しかし,最近になって,マクロファージは免疫反応のエフェクター細胞やアクセソリー細胞としての免疫担当機能を有し,種々の酵素やモノカインを産生し,モノクローナル抗体によっていくつかのサブセットに分けることができ,肉芽腫形成に関与するとともに肺線維化の原因となる組織傷害を起こすことが,しだいに明らかになってきた.
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