特集 アレルギーと自己免疫
I.免疫機能―最近の進歩
3.免疫担当細胞の分化
2)T細胞の分化と自己認識およびトレランスの成立
中村 和史
1
,
淀井 淳司
1
Kazuhiro NAKAMURA
1
,
Junji YODOI
1
1京都大学ウイルス研究所生体応答学研究部門
pp.35-38
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900791
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はじめに
周知のごとく胸腺(thymus)はT細胞の分化,成熟をつかさどるところである.胸腺におけるT細胞の成熟過程は,T細胞の抗原レセプターであるTcR (Tcel1 receptor)の発現形態により,大きく3つの段階に分けることが可能である.
この間に胸腺では胸腺基質細胞(stromal cell)とT細胞のTcRとの相互作用により,自己認識の可能なT細胞の選択(positive selection)と自己抗原に反応するT細胞の除去(negative selection)が行われ,その結果,自己認識と自己トレランスの成立した成熟T細胞が産生されると考えられている.
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