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特集 拡大新生児スクリーニング検査の成果と展望
はじめに
Introduction
八角 高裕
1
Takahiro YASUMI
1
1京都大学大学院医学研究科 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)京都ユニットセンター
pp.955-955
発行日 2024年9月14日
Published Date 2024/9/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290110955
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- Abstract 文献概要
分子標的薬や遺伝子治療などの開発により遺伝性疾患の治療は革新的な進歩を遂げているが,患者予後の改善には可能なかぎり早期(理想的には発症前)からの治療介入が重要であり,新生児スクリーニングによる早期(発症前)診断の重要性が高まっている.Guthrieらにより確立された乾燥濾紙血検体を用いた診断法により,フェニルケトン尿症の新生児スクリーニングが実用化され,その後,ホルモンや代謝産物の測定により診断が可能な疾患を中心に対象が拡大し,現時点でわが国では20疾患に対する公費新生児スクリーニングが実施されている.さらに,解析技術の進歩により乾燥濾紙血検体を用いた核酸や酵素活性の測定が可能となり,いくつかの疾患を追加した “拡大新生児スクリーニング” が各地で実施されているところである.出生後まもなく診断され,これまでの症例とは比較にならない高い治療効果が得られた症例の報道をご覧になった読者も多いと思われる.今後はこれらの検査を広く普及させ,公費化することが望まれるが,それには乗り越えなければならない課題も多い.加えて,スクリーニング陽性例にすばやく適切に対応し,必要な医療を迅速に導入する医療連携の体制づくりも欠かせない.
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