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特集 若年性認知症――臨床・基礎・社会的支援のstate of arts
はじめに
Introduction
粟田 主一
1
Shuichi AWATA
1
1東京都健康長寿医療センター研究所副所長
pp.1015-1015
発行日 2021年9月18日
Published Date 2021/9/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu278121015
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- Abstract 文献概要
65歳未満の若い年代に発症する認知症のことを若年性認知症とよんでいる.高齢発症の認知症に比べるとその頻度は少ないものの,若い年代で発症するために,本人および家族は高齢発症の認知症とは異なる深刻な心理的・社会的課題に直面している.2017~2019年度に実施されたわが国の若年性認知症有病率・生活実態調査では,今日においても若年性認知症の社会政策が不十分な状況にあることが明らかにされている.一方,先進的な医療機関や介護サービス事業所における実践からは,若年性認知症の本人や家族のニーズに合った診断後支援や社会的支援のあり方,症候学的なプロフィルに合わせた診断・治療・リハビリテーションのあり方について,意味のある重要な知見が集積されてきている.さらに近年では,疾患修飾薬によるプレクリニカル(前臨床)期からの治療が現実化しつつあり,とくに遺伝が関与する家族性認知症の頻度が相対的に高くなる若年性認知症では,体液バイオマーカーや神経画像検査を用いた新たな早期診断・治療戦略の開発と医療サービス提供体制の整備が強く求められてきている.
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