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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
副腎
単一遺伝子疾患としての原発性副腎不全
Monogenic causes of primary adrenal insufficiency
鳴海 覚志
1
Satoshi NARUMI
1
1慶應義塾大学医学部小児科学教室
キーワード:
副腎不全
,
小児
,
メンデル遺伝病
,
単一遺伝子疾患
Keyword:
副腎不全
,
小児
,
メンデル遺伝病
,
単一遺伝子疾患
pp.763-767
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090763
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原発性副腎不全(PAI)は,副腎皮質ホルモンの分泌が不足する致死的疾患である.小児期発症PAIの多くは単一遺伝子疾患であり,なかでも21水酸化酵素欠損症に代表される先天性副腎過形成(CAH)の頻度が高い.わが国では生化学的特徴に基づいた21水酸化酵素欠損症の新生児マススクリーニングが行われている.生化学的特徴が乏しい小児期発症PAIは,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)不応症,副腎レドックス恒常性障害,副腎低形成症などに分類される.ACTH不応症では副腎皮質束状層に限定された機能低下が起きる.副腎レドックス恒常性障害では,ニコチンアミドヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ遺伝子(NNT)やAladinの異常が関与し,主に副腎皮質束状層の酸化還元バランスの乱れがPAIを招くと考えられている.先天性副腎低形成症は,DAX1異常など副腎の器官形成過程の異常と考えられる.日本と英国で行われた遺伝学的研究では,小児期発症PAI症例の過半数に遺伝的異常が同定されたが,責任遺伝子頻度には人種差が認められた.
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