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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
視床下部・下垂体
下垂体TSH産生腫瘍のこれまでとこれから
TSH secreting pituitary tumor
――Past and future
堀口 和彦
1
Kazuhiko HORIGUCHI
1
1群馬大学医学部附属病院内分泌糖尿病内科
キーワード:
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
,
下垂体TSH産生腫瘍
,
甲状腺ホルモン不応症(RTH)
,
甲状腺ホルモン
Keyword:
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
,
下垂体TSH産生腫瘍
,
甲状腺ホルモン不応症(RTH)
,
甲状腺ホルモン
pp.635-639
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090635
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下垂体甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生腫瘍は1960年に最初の症例が報告され,その後,ホルモン値の測定方法や画像検査の進歩により,発見される頻度が徐々に増えてきている.また,研究手法の発展によりその分子機構も徐々に解明されはじめているが,その発症機構はいまだにわかっていない.検査所見では,下垂体TSH産生腫瘍は血中甲状腺ホルモンが高値にもかかわらず血中TSHが基準値内~軽度高値であるTSH不適切分泌症候群(SITSH)を示す.甲状腺ホルモン不応症(RTH)との鑑別が重要であり,遺伝子検査が保険適用になるなど以前より診断は容易になってきているが,いまだに鑑別が困難な症例もあり,注意が必要である.治療の第一選択は手術であるが,臨床症状の改善にソマトスタチンアナログが有用であり,ランレオチドが保険適用となっている.今後,長期予後を見据えた治療法の選択方法の発展や,よりよい診断につながるような病因の解明が待たれる.
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