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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
視床下部・下垂体
成人成長ホルモン分泌不全症と先端巨大症
Adult growth hormone deficiency and acromegaly
山本 雅昭
1
,
福岡 秀規
2
Masaaki YAMAMOTO
1
,
Hidenori FUKUOKA
2
1神戸大学大学院医学研究科内科学講座糖尿病・内分泌内科学部門
2同医学部附属病院糖尿病・内分泌内科
キーワード:
成長ホルモン(GH)
,
成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)
,
先端巨大症
,
巨人症
Keyword:
成長ホルモン(GH)
,
成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)
,
先端巨大症
,
巨人症
pp.629-634
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090629
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成長ホルモン(GH)は,1921年にEvansらのウシ下垂体前葉抽出物の成長促進効果の発見を経て,1956年にヒトGHが単離され,GH補充療法の基礎が築かれた.GHは視床下部から主として成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)刺激により脈動的に分泌される.成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)の主な原因には腫瘍や外傷などがあり,症状にはQOLの低下や代謝異常,心血管リスクの増加が含まれる.診断にはGH刺激試験が必須であり,GH補充療法は死亡リスクの低下や代謝改善などに関連しているが,長期的な効果や有害事象については未解明な点もある.2021年に承認されたソマプシタンは,週1回の投与が可能であり,これまでの製剤よりも治療満足度が高いとされるが,その長期的な安全性と効果についてはさらなる研究が必要である.一方,先端巨大症はGH/インスリン様成長因子1(IGF-Ⅰ)の過剰により起こる疾患であり,古くは旧約聖書の時代の記録に遡る.GH産生下垂体腫瘍によるものがほとんどであり,診断はGH自律・過剰分泌の証明,IGF-Ⅰ高値,画像検査による下垂体腫瘍の確認が必須である.治療法は手術が第一選択であり,薬物療法はソマトスタチンアナログを中心にさまざまな薬剤選択が可能となっている.
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