発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009003493
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23歳女。患者は頸部違和感、全身倦怠感を主訴とした。近医で瀰漫性甲状腺腫を指摘され、その後、動悸、息切れ、振戦、発汗、頻脈等の甲状腺機能亢進症状を強く訴えて、著者らの施設へ受診となった。所見では内分泌検査でTSH不適切分泌症候群が認められたが、甲状腺自己抗体は陰性であった。下垂体前葉ホルモン分泌能はTSHを含めて正常に保たれており、TRH負荷試験ではTSHは正常反応を認めた。一方、下垂体MRIでは下垂体にマクロアデノーマがみられた。以上より、本症例はTSH産生下垂体腺腫と診断され、オクトレオチド負荷試験でTSHの抑制を認め、持続皮下注射が開始された。その結果、投与後、頻脈は消失し、17日後には甲状腺機能が改善した。また同時に、腫瘍の著明な縮小がみられた。以後、オクトレオチドは手術前日まで20日間投与され、経鼻的に腫瘍は全摘された。
©Nankodo Co., Ltd., 2008