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連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.20
リステリア菌とリステリア症
Listeria monocytogenes and listeriosis
篠原 浩
1
Koh SHINOHARA
1
1京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
キーワード:
リステリア
,
細胞内寄生菌
,
細胞性免疫不全
,
分子疫学
,
全ゲノムシーケンシング(WGS)
Keyword:
リステリア
,
細胞内寄生菌
,
細胞性免疫不全
,
分子疫学
,
全ゲノムシーケンシング(WGS)
pp.527-533
発行日 2024年8月17日
Published Date 2024/8/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290060527
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◎リステリア菌はグラム陽性小桿菌の細胞内寄生菌である.巧みな細胞内生存戦略を持ち,食細胞をはじめとした免疫反応を逃れる.リステリア菌は主に免疫不全者,高齢者,妊婦に侵襲性感染症(リステリア症)を引き起こす.周産期感染,中枢神経感染症,菌血症/敗血症の3つがリステリア症の主な病態で,胎児,新生児,免疫不全者,高齢者での死亡率は20~30%と高い.近年の研究により,病原性の高いクローンの存在が明らかになってきているが,その分子疫学は地域によって異なる.治療についてはアンピシリンなどのペニシリン系抗菌薬が中心となるが,重症例でのアミノグリコシド併用の是非を含め,十分にわかっていないことも多い.日本においては適切なサーベイランス体制がなく,リステリア症の疾患負荷やリステリア菌の分子疫学に不明な点が多く,サーベイランス体制の構築を含めたさらなる研究が必要である.
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