特集 周産期感染症2026
産科からみた周産期感染症
17.リステリア
内田 季之
1
Toshiyuki Uchida
1
1常葉大学健康科学部看護学科
キーワード:
リステリア症
,
周産期リステリア症
,
リステリア・モノサイトゲネス
Keyword:
リステリア症
,
周産期リステリア症
,
リステリア・モノサイトゲネス
pp.80-83
発行日 2025年12月25日
Published Date 2025/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002432
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はじめに
リステリア症を起こす原因菌は,主にListeria monocytogenes(リステリア・モノサイトゲネス)でグラム陽性桿菌である。自然界に広く分布し,動物(牛,鶏,羊など)の糞便や乳から検出される。特徴として12%もの高濃度の食塩にも耐性があり,4℃の低温でも増殖するため,食料品を冷蔵保存していても安全とはいえない。pH 4.4から9.6までの広い範囲でも生存し,増殖可能であるため,発酵製品,酸性食品の環境でも耐えることができる1)。感染経路は,感染動物由来の肉製品(ソーセージ,生ハムなど),魚介類加工品(スモークサーモンなど),乳製品(ナチュラルチーズなど),感染動物の糞に汚染された野菜をヒトが摂取することによる。摂取された食品内に存在したリステリア・モノサイトゲネスは,腸管から肝臓に至り,溶血毒素であるリステオリシンOを産生し,マクロファージなどの細胞内で増殖する。細胞内に豊富に存在する蛋白であるアクチンを宿主細胞内で重合させることで細胞内を動き回り,隣の細胞にも感染していくことができる。リステリア・モノサイトゲネスに対する感染防御は,細胞性免疫であり,抗体は防御効果がない。ヒトにおいて,リステリア症は,経口感染で食中毒として発症する。周産期領域で問題になるのは,妊婦が感染すると経胎盤感染から子宮内胎児死亡となり,流産・死産となること,または新生児の髄膜炎や敗血症となることである。これらを周産期リステリア症といい,垂直感染を起こす。リステリア症の臨床像,治療について,また周産期リステリア症の報告例を紹介する。

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