Japanese
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特集 量子生命科学の医学領域への展開
量子コンピューティング技術の医学応用の可能性
The potential role of quantum computing technology in future medicine
八幡 憲明
1,2
,
間島 慶
1
Noriaki YAHATA
1,2
,
Kei MAJIMA
1
1量子科学技術研究開発機構量子生命科学研究所
2千葉大学大学院融合理工学府先進理化学専攻量子生命科学コース
キーワード:
量子コンピューティング技術
,
量子ゲート
,
量子アニーリングマシン
,
量子インスパイアドアルゴリズム
,
量子機械学習
Keyword:
量子コンピューティング技術
,
量子ゲート
,
量子アニーリングマシン
,
量子インスパイアドアルゴリズム
,
量子機械学習
pp.280-284
発行日 2024年7月27日
Published Date 2024/7/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290040280
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量子コンピュータの開発が急速に進展している昨今,その本格的な普及が見込まれる2030年代以降のわれわれの生活や社会のあり方についての議論も活発化している.本稿では,量子コンピュータの理解に必要な基本事項に触れ,技術開発の現状や克服すべき課題について述べたうえで,今後の医学分野への応用可能性について論じる.ゲート式量子コンピュータは,その汎用性のためにさまざまな場面での活用が期待されているが,現段階では誤り訂正機能を持つ論理量子ビットを多数搭載するための技術開発が課題で,具体的な問題解決場面で活用されるには至っていない.一方,組合せ最適化問題の解決に特化した量子アニーリングマシンや,古典コンピュータ上で量子コンピュータに迫る効率で線形演算の近似解を得る量子インスパイアドアルゴリズムについては,実際の問題への適用が可能な段階に至っている.今後,こうした種々の量子コンピューティング技術をその発展に応じて段階的に組み合わせることで,たとえば効率的な創薬の支援,人工知能や機械学習を介した医療画像解析の高度化,そして患者データの高度なリアルタイム処理に基づく治療や支援の展開など,具体的な医学応用が視界に入ってくるものと思われる.
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