Japanese
English
特集 量子生命科学の医学領域への展開
脳内炎症に対する量子診断プラットフォームの構築
Building a quantum diagnostic platform for brain inflammation
北條 慎太郎
1,2,3
,
田中 勇希
1,3
,
村上 正晃
1,2,3,4
Shintaro HOJYO
1,2,3
,
Yuki TANAKA
1,3
,
Masaaki MURAKAMI
1,2,3,4
1北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野
2同ワクチン研究開発拠点(HU-IVReD)
3量子科学技術研究開発機構量子生命科学研究所量子免疫学研究チーム
4自然科学研究機構生理学研究所生体機能調節研究領域分子神経免疫研究部門
キーワード:
サイトカイン
,
炎症
,
ストレス
,
全身性エリテマトーデス(SLE)
,
精神神経疾患
,
ナノダイヤモンド
,
AIナノポア
Keyword:
サイトカイン
,
炎症
,
ストレス
,
全身性エリテマトーデス(SLE)
,
精神神経疾患
,
ナノダイヤモンド
,
AIナノポア
pp.285-289
発行日 2024年7月27日
Published Date 2024/7/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290040285
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慢性炎症は自己免疫疾患や精神神経疾患などの発症に関与し,生活の質の低下を招く.筆者らは,2012年に重力が特異的な神経回路の活性化を介して特定の血管領域で微小炎症を引き起こし,血管透過性の亢進を通じて自己反応性免疫細胞の組織侵入を促進する “ゲートウェイ反射” を発見して以来,痛み,ストレスなど環境要因を起点とする5つのゲートウェイ反射を報告してきた.さらに2022年には,重症の全身性エリテマトーデス(SLE)である精神神経性SLE(NPSLE)がストレス依存的なIL-12/23を介した神経回路の変容にて誘導されることを示し,神経-免疫連関研究を牽引してきた.現在,筆者らは日本医療研究開発機構(AMED)ムーンショット目標7の研究開発プロジェクトにおいて,微小炎症に依存する微量のバイオマーカーを指標に,未病状態から “病の芽” を超早期に発見する技術開発に取り組んでいる.この目標を達成するために,生体試料から超高感度・超高精度でバイオマーカーを検出可能な量子計測,イメージング技術や,遺伝情報,生理・行動情報を統合的に解析できる人工知能(AI)を活用したプラットフォームの構築を目指している.本稿では,特に最近明らかになったNPSLEの診断バイオマーカー候補や,それを活用した脳内炎症の予防診断に資する量子技術の開発について概説したい.
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