Japanese
English
特集 量子生命科学の医学領域への展開
量子構造生物学の医学応用への期待
The possibility of quantum structural biology for the application in the medical field
平野 優
1,2
,
玉田 太郎
1,2
Yu HIRANO
1,2
,
Taro TAMADA
1,2
1量子科学技術研究開発機構量子生命科学研究所
2千葉大学大学院融合理工学府
キーワード:
中性子結晶構造解析
,
水素原子
,
銅亜硝酸還元酵素(CuNIR)
,
高電位鉄硫黄タンパク質(HiPIP)
Keyword:
中性子結晶構造解析
,
水素原子
,
銅亜硝酸還元酵素(CuNIR)
,
高電位鉄硫黄タンパク質(HiPIP)
pp.309-314
発行日 2024年7月27日
Published Date 2024/7/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290040309
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
量子構造生物学では,水素原子や外殻電子の情報を含む生体分子の高精度の立体構造情報を取得することに加え,計算科学や分光学など他手法との連携を密接にすることにより,より深い分子機能の理解を目指している.量子構造生物学から得られる知見によって,従来の構造ベース創薬を一歩進めたアプローチで新規医薬品の開発にも貢献できると考えている.筆者らの研究グループでは,水素原子を含むタンパク質の立体構造情報の取得を目的として,中性子結晶構造解析に取り組んでいる.地球上の窒素循環で鍵となる反応を触媒する銅亜硝酸還元酵素(CuNIR)においては,量子化学計算から予測される反応機構を支持する結果が得られている.また,光合成細菌の光合成電子伝達反応に関わる高電位鉄硫黄タンパク質(HiPIP)においては,水素原子位置を高い分解能の実験データに基づき正確に決定することで,タンパク質の立体構造研究で従来用いられるペプチド結合の標準モデルを改訂する新たなモデルを提唱している.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.