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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.5
無脊椎動物Toll受容体による非自己と自己に対する免疫応答
Immune response to non-self and self by invertebrate Toll receptor
三浦 正幸
1
Masayuki MIURA
1
1東京大学大学院薬学系研究科遺伝学教室
キーワード:
Toll受容体
,
ショウジョウバエ
,
自然免疫
,
タンパク質分解カスケード
Keyword:
Toll受容体
,
ショウジョウバエ
,
自然免疫
,
タンパク質分解カスケード
pp.259-264
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290030259
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SUMMARY
Toll受容体はショウジョウバエを用いた発生のパターン形成に関わる遺伝子として同定された.その後,Toll活性化経路が自然免疫の主要な応答を担うことがわかり,さらにTollと分子全体にわたって相同性のある分子として哺乳類TLR(Toll-like receptor)が同定された.TLRは病原体関連分子パターン(PAMPs)のみならず,自己からのダメージ関連分子パターン(DAMPs)を直接認識する.一方,Tollは病原体関連分子パターンを直接認識することはなく,感染によってタンパク質分解カスケードが発動し,TollリガンドであるproSpätzle(proSpz)を切断・成熟させる.このようなタンパク質分解カスケード依存的な仕組みは補体の活性化に類似している.Tollは感染によらない創傷や細胞壊死が生じる際にも活性化されるが,その場合もproSpzの切断・成熟が起こる.創傷や細胞壊死によって局所的に活性酸素種(ROS)が生じるが,このROS産生がproSpzを切断・成熟させるタンパク質分解カスケードを発動させることが明らかになってきた.
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