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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.20
無菌的組織損傷による自然免疫活性化とその意義
-――ショウジョウバエを用いた解析
Innate immune responses by sterile injury in Drosophila
堀 亜紀
1
,
倉石 貴透
1
Aki HORI
1
,
Takayuki KURAISHI
1
1金沢大学医薬保健研究域薬学系
キーワード:
無菌的損傷
,
自然免疫
,
外傷性脳損傷
,
ショウジョウバエ
Keyword:
無菌的損傷
,
自然免疫
,
外傷性脳損傷
,
ショウジョウバエ
pp.186-190
発行日 2025年1月11日
Published Date 2025/1/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292020186
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SUMMARY
生体への感染を伴わない無菌的な損傷により,自然免疫の活性化と炎症が誘導される.無菌炎症は,組織の修復や機能維持に不可欠であるが,適切に制御されない場合には慢性炎症や疾患の発症につながることがある.本稿では,自然免疫が哺乳類と類似したショウジョウバエのモデルにおいて,無菌的損傷による自然免疫活性化を解析した研究を紹介する.ショウジョウバエ表皮への無菌的損傷は,マクロファージにおいてROSを介したJAK-STATリガンドの産生を促す.免疫組織である脂肪体においては,表皮への損傷に加え,低温性組織障害なども抗菌ペプチドの発現を誘導する.また,ショウジョウバエ成虫の外傷性脳損傷モデルの解析から,誘導された抗菌ペプチドが二次損傷や組織保護に機能することが示唆される.抗菌ペプチドは殺菌作用以外にも多面的な機能を有することが示唆されており,無菌的な自然免疫活性化のメカニズムと意義の解明が進みつつある.
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