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特集 フェロトーシス(鉄依存性細胞死)――そのメカニズムの解明と,治療への応用
虚血再灌流障害とフェロトーシス
Ischemia-reperfusion injury and ferroptosis
佐野 元昭
1
,
市原 元気
2
,
勝俣 良紀
3
Motoaki SANO
1
,
Genki ICHIHARA
2
,
Yoshinori KATSUMATA
3
1山口大学大学院医学系研究科器官病態内科学講座(第二内科)
2慶應義塾大学医学部循環器内科
3同スポーツ医学総合センター
キーワード:
水素
,
グルタチオン(GSH)
,
MRP1(multidrug resistance-associated protein 1)
,
脂質過酸化連鎖反応
Keyword:
水素
,
グルタチオン(GSH)
,
MRP1(multidrug resistance-associated protein 1)
,
脂質過酸化連鎖反応
pp.170-173
発行日 2024年7月13日
Published Date 2024/7/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290020170
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虚血再灌流障害は急性心筋梗塞,心臓を止めて行う心臓外科手術,心臓移植では不可避であり,循環器にとって最も重要な領域であるにもかかわらず,BenchからBedsideへのtranslational studyはすべて失敗し,1つとして臨床に定着した治療法はない.筆者らは,心筋虚血再灌流後にフェロトーシスが誘導される分子機序を明らかにした.そこにはグルタチオン(GSH)を細胞外に放出するという自己破壊的な細胞応答が関与していた.これらの実験結果に加えて,抗酸化作用を示す水素ガスの虚血再灌流障害に対する治療効果を検証した臨床試験の結果から,これまでほとんど注目されてこなかった,再灌流後数時間経過したあとでもフェロトーシスを抑制して臓器予後を改善する可能性を秘めたtherapeutic windowが存在することを見出した.
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