Japanese
English
第1土曜特集 “かたちづくり” を制御する分子メカニズム
形態形成と病態・疾患
心室と大血管の連絡関係を支える分子機構
Molecular mechanisms underlying the anatomical and functional relationship between the ventricles and great vessels
八代 健太
1
Kenta YASHIRO
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科生体機能形態科学
キーワード:
流出路中隔の螺旋構造
,
流出路円錐部の騎乗
,
心臓神経堤
,
第2心臓領域(SHF)
,
平面内極性(PCP)
Keyword:
流出路中隔の螺旋構造
,
流出路円錐部の騎乗
,
心臓神経堤
,
第2心臓領域(SHF)
,
平面内極性(PCP)
pp.99-106
発行日 2024年7月6日
Published Date 2024/7/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290010099
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先天性心疾患は,最も頻度の高い先天性の形態異常である.そのなかでも,左右の心室から大動脈と肺動脈(大血管)への連絡関係に異常をきたした複雑先天性心疾患は,医療の進歩により現在では95%以上の患者が成人に達することができるようになった.しかし,加齢に伴い多くの患者が心不全を引き起こすことが近年明らかとなっている.さらなる予後改善を目指すうえで,心室と大血管の連絡関係を規定する発生生物学的な分子病態の理解は重要である.この連絡関係の構築には,心臓の発生における以下の2つの過程が鍵となっている:①流出路が両心室双方へと連絡するために必要な,流出路への入口である流出路円錐部の筋性部心室中隔への騎乗,および,②心臓流出路を肺動脈幹と大動脈幹へと分離する流出路中隔の螺旋状の形成.これらの過程には,第2心臓領域(SHF)とよばれる心臓前駆細胞(CPCs)集団と心臓神経堤細胞(cNCCs)の双方の機能的正常性が必要であり,これを攪乱する分子異常は両大血管右室起始症(DORV),大血管転位症(TGA),総動脈幹遺残症(PTA)などを引き起こす可能性がある.
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