Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
神経発生学の分野で,神経系特有のもっとも重要な問題の一つは,どのような分子機構によって複雑極まりない神経回路網が正しく形成されるのかということである。この問題に関して脊椎動物では,運動ニューロンの筋支配,網膜からの視蓋への投射の系がもっとも詳しく解析され,神経細胞は個々の特性を持って発生し,ランダムに軸索を伸ばしその後に特異性を獲得して回路網ができあがるのではなく,最初から選択的に正しい標的細胞とシナプスを形成すると考えられるようになった。
網膜と視蓋は,二次元的に広がる面と面との特異的対応である。一方,運動ニューロンの場合は,標的である筋が解剖学的に大きく分散して存在し,それぞれを特異的に支配することが厳密に運命づけられたサブタイプの性質を持って運動ニューロンが発生し,そのサブタイプごとに軸索の伸びる方向が異なるという特徴を持つ。3年前に,主にニワトリ胚の運動ニューロン軸索成長の解析から得られた結果の概要を本誌にまとめ1),その後それほど大きな進歩がないことから,ここではその後に明らかにされた結果と,強力な実験材料であるショウジョウバエでの運動ニューロン軸索成長の解析が発展していることを取り上げる。
One of the major goals of developmental neurobiology is to elucidate the molecular mechanism of selective synapse formation. In the neuromuscular system in the chick embryo, predetermined motoneu-rons selectively innervate unique target muscles by the process of selective axonal growth along the nonspecific highway. This review focuses primary on the recent advances of chick motoneuron differen-tiation, axonal guidance, and Drosophila motoneuron projection. The Drosophila motoneurons have the very similar mechanisms with those of chick embryo in the motoneuron path finding.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.