Japanese
English
第1土曜特集 “かたちづくり” を制御する分子メカニズム
形態形成と多細胞動態
血管による臓器の形態形成メカニズム
Organ morphogenesis mediated by blood vessels
高野 晴子
1
,
石井 智裕
1
,
福原 茂朋
1
Haruko TAKANO
1
,
Tomohiro ISHII
1
,
Shigetomo FUKUHARA
1
1日本医科大学先端医学研究所病態解析学部門
キーワード:
血管内皮細胞
,
Rap1低分子量Gタンパク質
,
肺胞
,
基底膜
,
糸球体
Keyword:
血管内皮細胞
,
Rap1低分子量Gタンパク質
,
肺胞
,
基底膜
,
糸球体
pp.52-57
発行日 2024年7月6日
Published Date 2024/7/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290010052
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全身を張りめぐらす血管は,単に血液を運搬する “管” ではなく,多様な機能を有し,さまざまな生命現象を積極的に制御している.血管を構成する血管内皮細胞は,アンジオクラインファクターとよばれるシグナル伝達分子を産生し,臓器の形成・維持,組織修復など多様な機能を制御する一方で,がんや線維症などの疾患の病態にも関与することが明らかになりつつある.筆者らは最近,血管内皮細胞は自らが持つ細胞機能を活用し,肺胞や糸球体の形態形成を制御していることを明らかにした.肺胞を構成する血管内皮細胞は,Rap1低分子量Gタンパク質を介してインテグリンを活性化し,Ⅳ型コラーゲンを集積することで,基底膜を形成すること,そして,この基底膜が筋線維芽細胞の足場となり,筋線維芽細胞による肺胞形成を促進していることを明らかにした.また,ゼブラフィッシュの前腎糸球体の形成プロセスを解析し,血管内皮細胞は血液濾過機能を介して,糸球体原基のリモデリングを誘導し,糸球体形成を積極的に制御していることを発見した.
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