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第1土曜特集 “かたちづくり” を制御する分子メカニズム
形態形成と多細胞動態
筋腱相互作用による骨格筋形態形成
Skeletal muscle morphogenesis through muscle-tendon interactions
乾 雅史
1
Masafumi INUI
1
1明治大学農学部生命科学科動物再生システム学研究室
キーワード:
筋腱相互作用
,
細胞系譜
,
骨格筋
Keyword:
筋腱相互作用
,
細胞系譜
,
骨格筋
pp.47-51
発行日 2024年7月6日
Published Date 2024/7/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290010047
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脊椎動物の全身には数百にも及ぶ筋-腱-骨の機能ユニットが存在し,複雑な身体運動を実現している.多様な身体運動を実現するには,さまざまなサイズ・形の筋-腱-骨が正確な位置で結合していることが不可欠であるが,これらの異なる組織が再現よく結合・形態形成するメカニズムの理解は不十分である.特に四肢の形成において,骨格筋は体節,腱は側板中胚葉というまったく異なる発生起源を持つため,発生過程でそれぞれが機能する位置に移動したうえで正しいパートナーと結合する必要がある.数多くの骨格筋と腱が正しい組み合わせで結合するためには相互の誘導が必要であると考えられるが,腱から骨格筋への誘導的な作用の存在は明らかではなかった.筆者らは,発生中の胚で腱細胞に細胞死を誘導するマウスモデルを作製し,このマウスで骨格筋の形態が異常となることを見出した.この発見から,哺乳類において骨格筋の形態形成に腱細胞からの作用が存在することが示唆される.本稿では,近年の骨格筋・腱分野の新たな知見に触れつつ,骨格筋の形態形成における腱および関連する肢芽間葉細胞群の役割について紹介したい.
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