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特集 病理からせまる腎疾患の病因・病態解明
特殊技術を駆使した腎疾患の病態解明
集束イオンビーム/走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた解析:FIB-SEMによるポドサイトの3D超微形態解析
Three-dimensional ultrastructural analysis of podocytes using by FIB-SEM
宮木 貴之
1
,
市村 浩一郎
1,2
MIYAKI Takayuki
1
,
ICHIMURA Koichiro
1,2
1順天堂大学大学院医学研究科解剖学・生体構造科学
2順天堂大学大学院医学研究科研究基盤センター・形態解析イメージング研究室
キーワード:
ポドサイト
,
糸球体
,
ボリューム電顕法
,
FIB-SEM
Keyword:
ポドサイト
,
糸球体
,
ボリューム電顕法
,
FIB-SEM
pp.467-472
発行日 2024年9月25日
Published Date 2024/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001472
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はじめに
糸球体疾患において,電子顕微鏡(電顕)による糸球体の解析は病態理解・診断のための重要なツールである。しかし,従来の透過型電顕(transmission electron microscope:TEM)では断面による観察しかできず,また観察視野も限られるため,複雑な立体構造をとる糸球体の理解には限界があった。ところが近年,導電性のある基盤上に回収した切片または電顕ブロックの表面を電界放出型走査電顕(field emission scanning electron microscopy:FE-SEM)で撮影する手法が登場し,TEMと同等の電顕像を広範囲に観察できるようになった1)。さらにFE-SEMと連続断面作製技術を組み合わせ,超多数の連続断面を撮像し,取得した連続画像から任意の構造を3D再構築することで,3次元(three dimensional:3D)構造解析も可能なボリューム電顕技術も発達してきた。これらの技術により,断面の構造観察では十分に把握できない,微細な構造も詳細に観察することが可能となり,糸球体の正常構造・病理変化への理解がさらに深まることが期待される。ボリューム電顕法には種々の手法が存在するが2,3),本稿においては,筆者らが糸球体研究に応用してきた集束イオンビーム(focused ion beam:FIB)-SEM法について紹介し,その利点・欠点についても議論していきたい。
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