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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅰ.腎疾患の病態生理
2.蛋白尿
Pathophysiology of Proteinuria
河内 裕
1
Kawachi Hiroshi
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター腎分子病態学分野
キーワード:
糸球体
,
ポドサイト
,
スリット膜
,
サイズバリア
Keyword:
糸球体
,
ポドサイト
,
スリット膜
,
サイズバリア
pp.6-11
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000986
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はじめに
蛋白尿は,腎障害を示す臨床症候であるだけでなく腎障害の進行を加速する因子であり,心・脳血管疾患などの他臓器疾患の危険因子であることも明らかになっている。蛋白尿の病態生理を理解することはきわめて重要である。健康人での生理的な尿中蛋白排泄量は100mg/日未満で,150mg/日以上(アルブミン30mg/日以上)の尿中排泄がある場合,蛋白尿(アルブミン尿)としている。病的蛋白尿は,一般に腎前性,腎性,腎後性に分類される。腎前性蛋白尿は,ほぼ自由に糸球体毛細血管壁を通過することができる低分子の溢流性の蛋白尿を指し,血中に多量の低分子蛋白が出現し,尿細管再吸収能を越えたときに検出される。多発性骨髄腫の際のBence-Jones蛋白などがこれに当たる。腎後性蛋白尿は,下部尿路由来の蛋白尿で,腫瘍,炎症などの際の分泌物などである。腎性蛋白尿は,さらに糸球体性蛋白尿,尿細管性蛋白尿に分類される。本稿では,臨床上最も重要な糸球体性蛋白尿を中心に,その成因,発症機序について,これまでの考え方を概説し,最近の知見を紹介する。
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