Japanese
English
第1土曜特集 “かたちづくり” を制御する分子メカニズム
形態形成の分子メカニズム
内臓の左右軸を決定する左側特異的カルシウムシグナル創成のメカニズム
Mechanisms of the initiation of left specific calcium signalling that determines the left-right axis of the viscera
田中 庸介
1
Yosuke TANAKA
1
1東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻細胞構築学分野
キーワード:
左右軸
,
体軸
,
初期発生
,
細胞内カルシウム
,
ポリシスチン
,
ノード流
,
細胞外小胞
,
サイトネーム
,
細胞外マトリックス
Keyword:
左右軸
,
体軸
,
初期発生
,
細胞内カルシウム
,
ポリシスチン
,
ノード流
,
細胞外小胞
,
サイトネーム
,
細胞外マトリックス
pp.10-16
発行日 2024年7月6日
Published Date 2024/7/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290010010
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医学部で人体解剖をはじめてやる学生がまず驚くことは,腹部内臓と胸部内臓はこれほど左右非対称に腹腔ならびに胸腔に収まっているのに,なぜ体表はほぼ対称にできあがるのかということである.この疑問に確たる答えはまだ出ていないが,なぜ左右軸が決定するかについてはこの25年でかなり知見が深まってきた.本稿ではそれについて,最新の細胞外小胞生物学の観点から概説する.これまでに筆者らは,初期体節期のマウス胚腹側正中部のくぼみである腹側ノードにおいて,細胞表面の一次線毛が後傾しつつ時計回りに回転することで左向きのノード流を生じ,左右対称性を破るという “ノード流仮説” を提唱した.今回,その読み出し機構について,ノックインマウスを用いた研究から明らかとした.ノード流がカルシウムチャネルであるポリシスチンを含むサイトネームや細胞外マトリックス(ECM)を左に吹き流し,これが腹側ノード左縁でNodalに反応して左側特異的なカルシウム上昇をもたらすという “ポリシスチン移送仮説” を提唱したので,ここに紹介する.
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