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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
慢性炎症・多臓器連関・メカニカルストレスから捉える循環器疾患
大動脈解離における血管周囲脂肪の意外な役割とは
Roles of perivascular tissue in acute aortic dissection
上田 和孝
1
Kazutaka UEDA
1
1東京大学医学部附属病院循環器内科
キーワード:
急性大動脈解離(AAD)
,
血管周囲脂肪組織(PVAT)
,
炎症
,
CT画像診断
Keyword:
急性大動脈解離(AAD)
,
血管周囲脂肪組織(PVAT)
,
炎症
,
CT画像診断
pp.1286-1292
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141286
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急性大動脈解離(AAD)は,循環器病のなかでも特に緊急性の高い重篤な疾患であり,発症予防はもちろん,発症時の早期診断もきわめて重要である.近年,血管疾患における血管周囲脂肪組織(PVAT)の役割が注目されている.PVATは動脈に隣接して存在し,血管に直接的に働きかけてさまざまな病態に関わっているとされ,高血圧や粥状動脈硬化の発生に関与することが報告されている.筆者らは,血管の急性傷害時におけるPVATの形質的変化を詳細に観察してその病態生理学的意義を明らかにするとともに,大動脈解離においては解離血管そのものだけではなく,周囲のPVATにも強い炎症が生じていることを見出した.近年,PVATの炎症をCT画像から非侵襲的に捉える手法の開発が進んできており,PVATの炎症評価が,大動脈解離の発症を予測するリスク評価や発症時の診断スクリーニングに役立つことが期待される.
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