Japanese
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特集 異所性脂肪と心血管病
血管周囲脂肪組織による血管リモデリングへの影響
-――冠動脈バイパス術における血管周囲脂肪組織の性質
Effects of perivascular adipose tissue on vascular remodeling
――Phenotypic difference of perivascular adipose tissue in coronary artery bypass grafting
三上 拓真
1
,
古橋 眞人
2
Takuma MIKAMI
1
,
Masato FURUHASHI
2
1札幌医科大学医学部心臓血管外科学講座
2同循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座
キーワード:
血管周囲脂肪組織(PVAT)
,
動脈硬化
,
冠動脈バイパス術(CABG)
,
大伏在静脈グラフト
,
No-touch法
Keyword:
血管周囲脂肪組織(PVAT)
,
動脈硬化
,
冠動脈バイパス術(CABG)
,
大伏在静脈グラフト
,
No-touch法
pp.182-186
発行日 2023年10月21日
Published Date 2023/10/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28703182
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血管周囲脂肪組織(PVAT)はさまざまな生理活性物質を放出する内分泌臓器として研究が進み,動脈硬化の進展にも深く関わることが示されている.また,PVATで引き起こされる慢性的な炎症は動脈硬化に影響を与えることが報告されている.最近,冠動脈バイパス術(CABG)において大伏在静脈グラフト周囲の脂肪組織を温存したまま使用するNo-touch法によりその長期成績が改善したとの報告以来,CABGのグラフト選択について世界的にさまざまな議論がなされている.PVATから放出される血管拡張因子やvasa vasorumの温存がグラフト成績に重要な役割を果たすと考えられているが,筆者らは以前,CABGに使用するグラフトのPVATの性質に着目して研究を行い,内胸動脈および大伏在静脈のPVATは炎症性が低い性質を有していることを示した.この性質がCABGにおけるグラフトPVATを温存するNo-touch法によるグラフトの開存率向上に一部寄与している可能性が示唆される.
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