Japanese
English
特集 治る,予防できる脳神経疾患――現状と将来
パーキンソン病の治療の現在と未来
Current and future perspectives on Parkinson’s disease treatment
王子 悠
1
,
服部 信孝
1
Yutaka OJI
1
,
Nobutaka HATTORI
1
1順天堂大学大学院医学研究科神経学
キーワード:
レボドパ
,
デバイス補助治療(DAT)
,
疾患修飾治療(DMT)
Keyword:
レボドパ
,
デバイス補助治療(DAT)
,
疾患修飾治療(DMT)
pp.874-878
発行日 2024年6月22日
Published Date 2024/6/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289120874
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パーキンソン病(PD)は中脳黒質ドパミン神経細胞が変性・脱落する神経変性疾患であり,脳内ドパミン量の減少により振戦,筋強剛,動作緩慢などの運動症状を呈する.PDの治療は主にレボドパを用いるドパミン補充療法であり,早期には良好な症状コントロールが得られる(図1)1).しかし,ドパミン神経変性を止める疾患修飾治療(DMT)はいまだ開発されておらず,現状ではPDの経年的進行は免れず,病態進行に伴いドパミン治療への反応性が低下し,ウェアリングオフ現象やレボドパ誘発性ジスキネジアなどの運動合併症が生じる.進行末期には転倒や嚥下障害など生命予後にも影響を及ぼす症状を起こす.PDの病変はドパミン神経細胞にとどまらず,大脳皮質,縫線核,青斑核,迷走神経背側核および自律神経系など神経系の広範囲に及び,PD患者は多くの非運動症状も合併する.このようにPDは多くのunmet medical needsを含み2),PD克服には対症療法の進歩とDMTの開発の双方が必須である.本稿ではPDの薬物治療,デバイス補助治療(DAT)の紹介と,DMTの候補薬に関する最近の話題について述べる.
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