Japanese
English
特集 治る,予防できる脳神経疾患――現状と将来
はじめに
Introduction
戸田 達史
1
Tatsushi TODA
1
1東京大学大学院医学系研究科神経内科学
pp.861-861
発行日 2024年6月22日
Published Date 2024/6/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289120861
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
脳神経内科の対象は,神経難病だけでなく,脳血管障害,認知症,てんかん,頭痛,しびれなど多岐にわたり,神経系の症状でファーストコンタクトをとる科として,進む超高齢社会のなかでニーズがますます高まっている.脳神経内科には2つの魅力がある.1つは,古くは問診とハンマーなどの理学的診察だけから,また近年はMRI,電気生理学検査なども組み合わせて,「病変の部位は?」「疾患名は?」「治療は?」と深く考えていく神経学的診察を駆使して,患者に最良の診療を実践することである.もう1つは,今や脳神経内科は,難治性神経疾患や高次脳機能のメカニズムの解明といった脳科学の先端的な課題を担う科という側面も持ち,極めて多彩な広がりを見せていることである.ひと昔前,脳神経内科疾患の多くが原因不明であり,病気のメカニズムも極めて難解で,攻略の糸口を見出し難いものであった.しかし,過去40年間の分子遺伝学の進展により事態は一変し,多くの神経疾患の病態が今まさに分子レベルで解明されつつあり,原因療法の開発まで進められているものもある.すなわち,従前の “なおらない” から “なおる脳神経内科” へ今後もどんどん変革しており,患者のために疾患を克服することが重要である.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.