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第1土曜特集 パーキンソン病を解剖する――過去,現在,そして未来へ
基礎研究の進展
孤発性パーキンソン病のゲノム背景
Genomic background of solitary Parkinson’s disease
佐竹 渉
1
,
戸田 達史
1
Wataru SATAKE
1
,
Tatsushi TODA
1
1東京大学大学院医学系研究科神経内科学分野
キーワード:
孤発性パーキンソン病
,
リスク遺伝子
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
エクソーム解析
Keyword:
孤発性パーキンソン病
,
リスク遺伝子
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
エクソーム解析
pp.871-874
発行日 2021年9月4日
Published Date 2021/9/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27810871
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パーキンソン病(PD)症例の95%は孤発性発症であるが,5%は家族性(その一部はメンデル遺伝性)に発症する.PD多発家系の連鎖解析などからメンデル遺伝性PD原因遺伝子が明らかにされ,ミトコンドリア障害,細胞内輸送やタンパク分解異常からドパミン細胞死に至る経路の重要性が示された1).一方で,ゲノム科学の進展にともなって,孤発性に発症する多因子疾患の疾患リスク遺伝子の探索が実現可能となった.PDにおいては,患者の大多数を占める孤発性PDは多因子疾患であると考えられ,孤発性PDの疾患リスク遺伝子の発見を目指した研究が行われている.筆者らは孤発性PDの大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い,α-synuclein,LRRK2,PARK16,BST1遺伝子座をPDリスク遺伝子座として発見した2).さらに,GWASを合算し解析するメタGWAS解析も進んでいる.またGaucher病遺伝子もPD発症に関与するまれな多型(rare variant)として注目されている.本稿ではこれらのデータを中心に,PDの発症リスク遺伝子について概説する.
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