Japanese
English
連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.10
アスペルギルス
Aspergillus
田代 将人
1
,
泉川 公一
1
Masato TASHIRO
1
,
Koichi IZUMIKAWA
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床感染症学,同病院感染制御教育センター
キーワード:
アスペルギルス
,
Aspergillus fumigatus
,
隠蔽種
,
薬剤耐性
Keyword:
アスペルギルス
,
Aspergillus fumigatus
,
隠蔽種
,
薬剤耐性
pp.279-283
発行日 2024年4月27日
Published Date 2024/4/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28904279
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
◎糸状真菌であるアスペルギルス属は,植物,土,および塵埃などに生息している.空気中に胞子が浮遊する環境真菌であり,ヒトは胞子を日々吸入している.Aspergillus fumigatus,A. niger,A. terreus,A. flavus,A. nidulans,A. versicolorなどの特定の種がヒトに病原性を示す.一般的な方法では同定できない隠蔽種には,低い薬剤感受性を示す菌種が存在する.隠蔽種には,A. fumigatus complex(A. lentulus,A. udagawae,A. viridinutans,A. felis,A. fischeri,A. thermomutatus)や,A. niger complex(A. welwitschiae,A. tubingensis)が報告されている.アゾール系抗真菌薬に耐性を示すA. fumigatusも懸念されている.アゾール系抗真菌薬で長期治療中の慢性肺アスペルギルス症患者が培養陽性の場合は,薬剤感受性試験の実施が望ましい.さらに輸入農産物を介して耐性株が日本に流入しており,今後のアゾール耐性株の増加も懸念されている.薬剤感受性試験は一般的な微生物検査室では行われておらず,臨床的に薬剤耐性を疑う場合は,遺伝子学的同定や薬剤感受性試験が可能な研究施設に相談する.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.