Japanese
English
TOPICS 疫学
中皮腫の疫学に関する最近の知見(2つの海外事例を含む)
Recent findings of epidemiology for mesotheliomas including 2 foreign episodes
森永 謙二
1
,
佐藤 恭子
2
Kenji MORINAGA
1
,
Kyoko SATO
2
1独立行政法人環境再生保全機構石綿健康被害救済部
2大阪公立大学大学院医学研究科都市医学講座産業医学
pp.277-278
発行日 2024年4月27日
Published Date 2024/4/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28904277
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明らかになってきた胸膜中皮腫とその他の部位の中皮腫の違い
中皮腫は体腔を覆う漿膜の表面にある中皮細胞に由来する悪性新生物で,胸膜は90%前後,腹膜は10%弱,心膜と精巣鞘膜はきわめてまれである.胸膜中皮腫の男性の80~90%,女性の60%前後は石綿ばく露と関連がある.他方,腹膜中皮腫では,男性でも60%前後,かつ高濃度ばく露や角閃石族石綿(クロシドライト等)のばく露がほとんどであり,女性では石綿ばく露と関連がない/不明の事例が多い1-3).2006~2022年度の17年間に石綿救済法の救済給付*で認定された中皮腫患者は8,445人(男6,189,女2,111)である.このうち生前に申請し,認定された方の男性の胸膜中皮腫は5,039人,女性1,755人で,発症年齢の中央値は男72.0歳,女73.0歳,平均値は男71.6歳,女71.2歳で男女差はない.胸膜以外(腹膜,心膜,精巣鞘膜)の男性の認定例は502人,女性401人と男女差は大きくなく,発症年齢は男性の中央値68.0歳,平均値65.9歳,女性では同64.0歳,62.2歳であり,胸膜に比べて女性は男性よりも若い傾向が認められる4).
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