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特集 GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬――非臨床・臨床のエビデンスと実臨床における注意点
高齢者糖尿病におけるGLP-1受容体作動薬の使用の意義と注意点
Importance and precautions for the use of GLP-1 receptor agonists in older adults with diabetes mellitus
荒木 厚
1
Atsushi ARAKI
1
1東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科フレイル予防センター長,健康長寿医療研修センター長
キーワード:
高齢者糖尿病
,
GLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬
,
心血管疾患
,
認知症
,
サルコペニア
Keyword:
高齢者糖尿病
,
GLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬
,
心血管疾患
,
認知症
,
サルコペニア
pp.981-984
発行日 2024年3月23日
Published Date 2024/3/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28812981
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高齢者糖尿病におけるGLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬は,低血糖リスクの小さい治療のひとつとして選択される.高齢者でもGLP-1受容体作動薬の使用は,心血管疾患と腎アウトカムのリスクを低減させる.GLP-1受容体作動薬とインスリンとの配合剤を用いたインスリン治療の単純化に用いることができ,血糖や体重の管理にも好影響をもたらし,低血糖を減らす.GLP-1は海馬に受容体があり,記憶や学習に関与し,シナプス可塑性の改善,神経前駆細胞の増殖,血液脳関門の輸送能の改善などの作用がある.GLP-1受容体作動薬は認知機能を改善し,認知症発症を低下させるという報告もある.高齢者では体重減少による骨格筋量の低下に注意する必要があるが,GLP-1は骨格筋に対して好影響を及ぼす可能性がある.サルコペニア肥満の動物モデルでは脂肪蓄積や筋萎縮を改善するという報告がある.高齢者におけるGLP-1受容体作動薬の使用にあたっては悪心,嘔吐,腹部不快感,便秘などの消化器症状に注意する.
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