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Case 1
施設で低血糖発作を起こすために入院となった痴呆を伴う80歳男性の糖尿病患者
家族歴:糖尿病の家族歴はなし.
臨床経過:55歳に検診で糖尿病を指摘され,近医で経口剤を処方される.
66歳で脳梗塞を起こし,左不全片麻痺を残す.72歳時,類天疱瘡が出現し,プレドニンが開始となり,血糖コントロール悪化したために,ヒューマリンNインスリン朝12単位開始となる.この時,痴呆と診断される.80歳時,類天疱瘡に対するプレドニン増量を契機に非ケトン性高浸透圧性昏睡(血糖680 mg/dL)を起こし入院し,治療後に,ノボレット50 Rインスリン12-0-6単位で,施設に退院となる.その後,プレドニンが中止となり,約3カ月後に夜間に興奮状態やせん妄が起こり,低血糖発作を繰り返すために紹介され,当センターを紹介され入院となる.
入院時身体所見:身長141 cm,体重33 kg,MMSE(ミニメンタルテスト)10点で失見当識,記銘力障害が著しく,暴言など介護に対する抵抗など精神症状がある.胸部は心肺とも特記すべきことなし.頸部に雑音を聴取.両下肢の深部反射消失し,知覚鈍麻もあり.膝関節,足関節の拘縮のために,歩行はできないが,座位保持は可能.
入院時検査所見:食後血糖222 mg/dL,HbA1C 5.8%.
入院後経過:1,360 kcalの食事療法とノボレットRインスリン6-4-4単位の1日3回注射法に変更後,低血糖発作は消失し,3週間後には朝食前血糖は150~158 mg/dL,昼前血糖は118~151 mg/dL,夕前血糖は103~167 mg/dLと血糖コントロール安定し,施設に退院となり,現在HbA1Cは7.0%である.
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