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特集 GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬――非臨床・臨床のエビデンスと実臨床における注意点
糖尿病治療におけるリアルワールドエビデンス
-――J-DREAMSからの知見を含め
Real world evidence in diabetes treatment
――Including findings from J-DREAMS
大杉 満
1
Mitsuru OHSUGI
1
1国立国際医療研究センター糖尿病情報センターセンター長
キーワード:
リアルワールドエビデンス(RWE)
,
診療録直結型全国糖尿病データベース事業(J-DREAMS)
,
DEFINE-G(DatabasE study For patIeNts trEated with GLP-1RA in Japan)
Keyword:
リアルワールドエビデンス(RWE)
,
診療録直結型全国糖尿病データベース事業(J-DREAMS)
,
DEFINE-G(DatabasE study For patIeNts trEated with GLP-1RA in Japan)
pp.985-990
発行日 2024年3月23日
Published Date 2024/3/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28812985
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リアルワールドエビデンス(RWE)とは,臨床治験を含む一般的な臨床研究以外の複数の情報源から得られる医療に関する情報であって,その情報源は電子カルテ(EHR),レセプトなど請求データ,製品・疾病レジストリ,活動量計や連続血糖測定器具などの個人用機器や健康アプリケーションを通じて収集されるものを指す1).医療データのデジタル化および標準化が進むことで,より大規模のRWEを手にすることが可能になっており,RWE研究が盛んに行われるようになっている理由のひとつである.観察研究につきものの,比較群間の差に関係する交絡因子の影響を排除するような統計的手法が広まり,比較的容易に用いることができることもRWE研究隆盛のひとつの理由である.さらに,前向きランダム化比較試験では比較群間のバイアスがないことが担保されており,これにより治療介入と観察結果の因果関係を示すことが保証されているが,その実施のための金銭・人的・時間的負担は大きく,そのためすべての臨床的課題をランダム化比較試験で解決することは不可能であり,もたらされる結果は強靱ではあるものの試験対象から外れた症例にその試験結果を援用することは難しく,容易に一般化することができない欠点を持つ.種々の情報ソースから得られるRWE研究が,多様な背景の患者に対し実臨床で用いられる治療選択によって,健康アウトカムがどのように変化するかのエビデンスをもたらすことで,ランダム化比較試験の結果を補完するものになることも,RWE研究への期待の高まりとなっている.
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