Japanese
English
特集 CAR-T細胞療法の最前線――現状と残された課題
CAR-T細胞療法の標的拡大へ向けた取り組み
Current attempts to expand array of the target molecules for CAR-T cell therapy
藤原 弘
1
Hiroshi FUJIWARA
1
1三重大学大学院医学系研究科・個別化がん免疫治療学分野
キーワード:
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞
,
TCR-like CAR-T細胞
,
固形がん
,
on-target/off-tumor adverse event(OTOT-AE)
,
治療関連有害事象
Keyword:
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞
,
TCR-like CAR-T細胞
,
固形がん
,
on-target/off-tumor adverse event(OTOT-AE)
,
治療関連有害事象
pp.224-229
発行日 2024年1月20日
Published Date 2024/1/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28803224
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現在,B細胞分化抗原を標的分子としてB細胞性血液がんや多発性骨髄腫に対するキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法が実用化し,CAR-T細胞の治療ポテンシャルを固形がんへ広げる試みが積極的に行われている.CAR-T細胞のがん細胞認識は,がん細胞表面上の標的抗原(がん抗原)を特異的に認識するモノクローナル抗体を利用した人工CARに依存する.したがって,治療標的抗原選択の重要性は論を俟たない.特に固形がんでは,がん細胞特異的な細胞表面抗原は極めてその数が乏しく,治療標的抗原の大部分が正常組織にもある程度発現している自己抗原(がん関連抗原)であるために,重要臓器を含む正常組織へのCAR-T細胞の攻撃で必発する重篤な臓器傷害が引き起こされる治療関連有害事象(on-target/off-tumor adverse event:OTOT-AE)への対応が必要である.現在,この問題を克服するためにさまざまな技術開発が進められている.本稿では筆者ら自身の取り組みを含めて,これら技術開発の現状を概観する.
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