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特集 補体revisited――抗補体療法はどこまで進んだか?
ANCA関連血管炎
Anti-complemental therapy for ANCA associated vascuritis
木本 泰孝
1
Yasutaka KIMOTO
1
1九州大学病院免疫・膠原病・感染症内科
キーワード:
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)
,
補体代替経路
,
C5a
,
アバコパン
Keyword:
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)
,
補体代替経路
,
C5a
,
アバコパン
pp.768-772
発行日 2023年12月9日
Published Date 2023/12/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28710768
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抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)は,自己抗体としてANCAが病態に関連し,小血管を中心とした血管炎を呈する疾患群である.急速に進行する腎不全と肺出血は,迅速かつ適切な治療が必要である.腎臓では半月体形成性糸球体腎炎を呈するが,AAVは腎糸球体に免疫グロブリンや補体の沈着を欠く,あるいはわずかな,いわゆるpauci-immuneとして分類されている.血中補体成分のC3やC4といった一般的な臨床検査では,多くのAAV患者で低下がみられず,補体系の関与は少ないと考えられていた.一方で,近年の研究成果の蓄積により補体代替経路の活性化が,好中球のプライミング能力を有するC5aの生成を介してAAVの病因となることが示され,経口C5aRアゴニスト(アバコパン,avacopan)が開発され,わが国でも2022年6月から使用可能となり,抗補体薬がAAVの新たな治療選択肢となった.今後,使いこなしなどの課題もあるが,アバコパンの成功を皮切りに炎症性疾患治療において抗補体薬の拡大が期待される.
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