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第1土曜特集 質量分析イメージング法を用いた創薬・医学研究――時空間マルチオミクスの力
循環器疾患領域の質量分析イメージング法
Mass spectrometry imaging for cardiovascular diseases
尾上 健児
1
Kenji ONOUE
1
1奈良県立医科大学循環器内科
キーワード:
ファブリー病
,
動脈硬化
,
大動脈瘤
,
虚血性心疾患
,
薬物動態
Keyword:
ファブリー病
,
動脈硬化
,
大動脈瘤
,
虚血性心疾患
,
薬物動態
pp.655-662
発行日 2023年12月2日
Published Date 2023/12/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28709655
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質量分析イメージング法(MSI)は,組織形態および組織内物質の局在を維持したまま,未知分子を含めて試料を解析できる手法である.筆者らは,この手法をいくつかの循環器疾患に適用してきた.ファブリー病の解析では,心臓に蓄積する主要な4種類のセラミドを同定し,5名の患者検体を比較して,それぞれの病態におけるセラミド蓄積量をも評価することができた.動脈硬化層および大動脈瘤の解析では,血管壁に蓄積する特徴的な脂質を同定し,虚血性心疾患モデルマウスの解析では,エネルギー代謝関連物質の局在を観察し,それぞれの病態における病理的意義を考察することができた.また,薬物動態の解析も行うことができた.しかし,循環器領域で重要な役割を果たしていると考えられる脂質に着目するだけでも,未解明の課題が多数残されている.今後,本手法の特徴をさらに多くの研究者や医師が認知し,自身の研究・臨床に本手法の適用を進め,多くの疾患メカニズムの解析や医学の進歩にいかされることを期待したい.
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