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第1土曜特集 質量分析イメージング法を用いた創薬・医学研究――時空間マルチオミクスの力
アミロイドーシスと質量分析イメージング
Amyloidosis and mass spectrometry imaging
堂本 裕加子
1
,
内木 宏延
2
Yukako SHINTANI-DOMOTO
1
,
Hironobu NAIKI
2
1日本医科大学付属病院病理診断科
2福井大学医学部分子病理学
キーワード:
アミロイドーシス
,
ATTRアミロイドーシス
,
診断
,
コンゴーレッド染色
Keyword:
アミロイドーシス
,
ATTRアミロイドーシス
,
診断
,
コンゴーレッド染色
pp.715-721
発行日 2023年12月2日
Published Date 2023/12/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28709715
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アミロイドーシスは,アミロイド前駆体タンパク質がβシート構造を形成し,細胞外基質に沈着することで臓器障害を引き起こす疾患である.アルツハイマー病のアミロイドβは広く知られているが,本稿では主に全身性アミロイドーシスに焦点を当てる.全身性アミロイドーシスの診断は,病理組織検体からのアミロイド沈着の確認と,免疫組織化学や質量分析法によるアミロイド前駆タンパク質の同定に基づく.マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)を活用した質量分析イメージング法(MSI)は,全身性アミロイドーシスの診断においてはまだ主流ではない.しかし先行研究では,鑑別診断に有効なペプチド鎖の特定が可能であることが示唆されている.筆者らは,同一のタンパク質由来のペプチド鎖の組織内分布の違いを指摘することで,この技術が研究ツールとしての価値を有すると認識している.将来的には,装置の性能の向上や方法の確立により,免疫組織化学を用いた多重染色法に匹敵する情報を提供するツールとしての可能性があると考えられる.
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