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第1土曜特集 質量分析イメージング法を用いた創薬・医学研究――時空間マルチオミクスの力
薬物性肝障害研究における質量分析イメージング法の応用例
Mass spectrometry imaging for studying drug-induced liver injury
――An overview
外山 友美子
1,2
,
Kerri J. Grove
2
,
Patrick J. Rudewicz
2
Yumiko TOYAMA
1,2
,
Kerri J. GROVE
2
,
Patrick J. RUDEWICZ
2
1同志社大学大学院生命医科学研究科
2Novartis Biomedical Research, Global Discovery Chemistry
キーワード:
薬物性肝障害(DILI)
,
薬物動態
,
質量分析イメージング法(MSI)
Keyword:
薬物性肝障害(DILI)
,
薬物動態
,
質量分析イメージング法(MSI)
pp.723-727
発行日 2023年12月2日
Published Date 2023/12/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28709723
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医薬品開発において,開発中止および市場後撤退の原因として薬物性肝障害(DILI)が知られる.なかでも特異体質性のDILIは発症予測が困難であり,研究に多額の投資が行われた後期開発段階で現れることが多い.そこで,薬物が肝臓へ及ぼす影響を創薬開発の早期段階で正確にとらえられる評価系の確立が求められる.本稿で紹介する質量分析イメージング法(MSI)は生体内の分子局在を可視化する技術であり,病理診断や病態解明に対する新たなアプローチとして近年発展を遂げている.本研究では抗マラリア治療薬であるアモジアキン(AQ)投与ラットの肝臓を対象としてMSIを施し,肝臓組織内におけるAQおよび代謝物の分布図を取得した.その結果,AQは門脈三つ組(portal triad)付近で強度が高く,中心静脈付近で強度が低い分布を示した.肝小葉内でのAQ代謝物の空間的および時間的分布を詳細に解析することは,肝障害を引き起こす反応性代謝物の分子メカニズム理解の一助となる.
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