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特集 Onco-Cardiology――最新ガイドラインと今後の課題
心血管疾患のあるHER2陽性乳がん患者に対する薬物療法
-――抗HER2薬の投与は有用か?
Utility of medication therapy for HER2-positive breast cancer patients with cardiovascular disease
柴田 雅央
1
,
澤木 正孝
2
Masahiro SHIBATA
1
,
Masataka SAWAKI
2
1名古屋掖済会病院外科
2愛知県がんセンター乳腺科
キーワード:
HER2陽性乳がん
,
心血管疾患
,
心機能低下
,
トラスツズマブ
,
ペルツズマブ
Keyword:
HER2陽性乳がん
,
心血管疾患
,
心機能低下
,
トラスツズマブ
,
ペルツズマブ
pp.566-569
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28708566
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HER2陽性乳がんは全乳がんの15~25%を占めるサブタイプで,その悪性度は高い反面,抗HER2薬の高い抗腫瘍効果によって,近年,治療成績が向上している.抗HER2薬の副作用として心機能障害が知られており,実地臨床では心血管疾患を有する患者に抗HER2薬の投与を行ってもよいか迷うことがある.今回,『Onco-cardiologyガイドライン』作成にあたって,心血管疾患のあるHER2陽性乳がん患者に対する抗HER2薬の投与による “益” と “害” についてアウトカムを設定し検討した.これまでの報告では後ろ向きの観察研究が多く,最終的には「投与前の循環器医との協議と治療中のモニタリングを前提に,トラスツズマブおよびペルツズマブ投与を提案する」というステートメントの作成に至った.実際の臨床において,現在存在している “がん治療医と循環器医間のギャップ” を埋めるために,本ガイドラインが果たす役割は大きい.今後,本ガイドラインが広まり,さらに発展することによって,双方が協同してがん患者の治療にあたっていくようになることを期待したい.
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