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第1土曜特集 老化を標的とした疾患予防・治療
総論
造血幹細胞の老化と若返りへの試み
Attempts to rejuvenate aging hematopoietic stem cells
横溝 貴子
1
,
岩間 厚志
1
Takako YOKOMIZO
1
,
Atsushi IWAMA
1
1東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター幹細胞分子医学分野
キーワード:
造血幹細胞
,
老化
,
骨髄微小環境
Keyword:
造血幹細胞
,
老化
,
骨髄微小環境
pp.341-346
発行日 2023年11月4日
Published Date 2023/11/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28705341
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老化に伴い生じる造血変化の多くは,造血幹細胞の加齢に伴う変化に密接に関連している.造血幹細胞は自己複製能と多分化能を兼ね備えた細胞集団であり,生物の生涯を通じて赤血球,白血球,血小板といった血液細胞を供給し続ける.老化に伴う造血幹細胞の機能変化は,造血および免疫系の異常や機能低下につながり,貧血,感染リスクの増加,ワクチンへの応答不良,自己免疫疾患および造血器腫瘍発症のリスクが高まる.超高齢社会に突入したわが国において,老化に関連する造血・免疫系の異常や疾患を改善するための新たな治療戦略の開発は喫緊の課題である.造血系は他の臓器に比べ若返りに抵抗性であり,比較的可逆性を持つ中年期での介入が造血幹細胞の若返りに効果的であることが示唆されている.標的としては造血幹細胞の内的因子および微小環境因子が考えられ,今後の若返り治療のさらなる研究成果が期待される.
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