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老化と高次脳機能に関する研究を概観し,以下の点などにつき述べた。
1)老化と高次脳機能研究の基本的問題点として,正常とは何かということが一番の問題である。近年の画像診断の進歩は「健常」と考えられる老年者に脳病変が存在することを明らかにしてきた。これらは「健常老年者」選択の難しさを示し,何が「健常」であるかの定義を要求する結果である。
2)加齢とともに記憶力が低下することに関しage-associated memory impairmentという概念が提出されている。これには雑多な患者が混じり込んでおり臨床的意義が不明だという異議が述べられている。健常老化が病的変化かの結論はついていない。
3)前頭葉機能は,正常老化でもっとも顕著な低下を示す高次脳機能であるとの報告があるが,前頭葉機能に関する研究は他の高次脳機能の研究に比較すると少なく,未だ結論はついていない。
4)apoEのalleであるε4と脳の老化に関する研究がみられ,遺伝子の役割にまで言及される時代になってきた。
I have summarized the literature on cognitive changes in normal aging.
Careful assessment, selection, and description of subjects are needed to aid interpretation of cognitive aging research. Attention to health status is needed to aid interpretation of cognitive aging research.
Many cognitive functions are relatively well preserved in the optimally healthy old. Age-associated memory impairment, and their possible continuum with dementia are also discussed. The criteria for age-related memory impairment might lack reliability.
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