特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 2
【System 2─理詰めで追い詰める感染症編❻】
赤い顔のビール好きにはご用心!
福島 一彰
1
,
関谷 紀貴
1
1がん・感染症センター都立駒込病院 臨床微生物科
キーワード:
Stenotrophomas maltophilia
,
血液悪性腫瘍
Keyword:
Stenotrophomas maltophilia
,
血液悪性腫瘍
pp.956-960
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200367
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Case
急性骨髄性白血病に対する化学療法中にStenotrophomonas maltophilia肺炎を発症した一例
患者:62歳,男性.
現病歴:急性骨髄性白血病に対して,イダルビシン+シタラビンによる寛解導入療法を施行し,治療1カ月後の骨髄検査で芽球の残存を認めたため,骨髄抑制状態でMEC療法(ミトキサントロン+エトポシド+シタラビン)を開始した.
MEC療法開始後11日目より,38℃台の発熱を認めた.「発熱性好中球減少症」の診断で,使用薬をメロペネム,バンコマイシン,ミノサイクリン,ミカファンギンと随時追加・変更したが,発熱は持続した.臨床所見として,血痰を伴う咳嗽,吸気で増悪する左胸部痛,高CRP血症,胸部CT検査で左上葉に広がる区域性の浸潤影(図1)を認めた.好中球減少状態であり膿性喀痰は得られなかったが,誘発喀痰のグラム染色検査でブドウ糖非発酵菌を疑うグラム陰性桿菌を一面に認めたため,「Stenotrophomonas maltophilia」(以下,S. maltophilia)による肺炎を疑い,ST合剤とG-CSF製剤の投与を開始した.1週間ほどの経過で,徐々に全身状態は改善し,喀痰培養からは遅れてS. maltophiliaが発育した.
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