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第1土曜特集 人生100年時代を見据えて がんと生活習慣病(心疾患/糖尿病/CKD/MAFLD)を再考する──共通リスク因子,予防・治療の最新アプローチ
トピックス
肥満症に対する減量介入とがんリスク低減
-――適切な減量治療の確立への課題
Weight loss intervention for obesity and cancer risk reduction
北本 匠
1
,
横手 幸太郎
1
Takumi KITAMOTO
1
,
Koutaro YOKOTE
1
1千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科,同大学院医学研究院内分泌代謝・血液・老年内科学
キーワード:
肥満
,
インスリン抵抗性
,
脂肪
,
高血糖
,
がん
Keyword:
肥満
,
インスリン抵抗性
,
脂肪
,
高血糖
,
がん
pp.860-866
発行日 2023年9月2日
Published Date 2023/9/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28610860
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肥満はがんの発生および死亡リスクを上げることが広く知られている.ただし,肥満が発生率を上昇させると判明しているがんは主に13種類であり(肥満関連がん),がん種特異性がある.この肥満関連がんの存在は,意図的な減量介入によりがん発生率およびがん関連死亡率が減少することからも支持されている.減量効果によるがんリスク低減率は,生活習慣への介入よりも肥満手術治療による効果の方が大きく,特に糖尿病寛解率との関連が強いことが示唆されている.高度肥満症患者のうち手術による糖尿病寛解効果が得られる多くは,インスリン分泌が亢進しているインスリン抵抗性の高い患者にみられる.そのような背景もあり,肥満関連がんの発生とインスリン抵抗性との関係について研究が進んでいる.特に脂肪細胞量,高インスリン血症,高血糖とがんの発生との関係については多くの研究報告が散見される.こうした知見と今後の課題を踏まえ,がん関連死亡率を低減する個別化された減量治療の確立と,健康寿命の延伸を実現することが重要である.
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