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第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
臨床
統合失調症の神経認知機能と社会認知機能
Cognitive impairments in patients with schizophrenia
橋本 直樹
1
Naoki HASHIMOTO
1
1北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室
キーワード:
統合失調症
,
神経認知機能
,
社会認知機能
,
MATRICS Consensus Cognitive Battery(MCCB)
,
Social Cognition Psychometric Evalusation(SCOPE)
Keyword:
統合失調症
,
神経認知機能
,
社会認知機能
,
MATRICS Consensus Cognitive Battery(MCCB)
,
Social Cognition Psychometric Evalusation(SCOPE)
pp.596-600
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606596
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統合失調症では,神経認知機能と社会認知機能双方の障害があり,社会機能と密接に関係する.2000年代に米国で開催されたカンファレンスで,2つの認知機能障害の克服を目的に,標的とすべき認知機能領域の同定,標準的な検査方法の開発,治療法の開発という道筋が示された.神経認知機能障害については,6つの領域(処理速度,注意/覚醒,作業記憶,言語学習,視覚学習,論理的思考と問題解決)が定められ,MATRICS Consensus Cognitive Battery(MCCB)がゴールドスタンダードの検査バッテリーとして作成された.現在,薬物療法,非薬物療法双方の効果を判定する研究が多数行われている.社会認知機能障害についても4つの領域(情動処理,心の理論,帰属バイアス,社会知覚)が定められたが,ゴールドスタンダードの検査バッテリーの作成には至っていない.統合失調症患者の社会機能改善に向け,研究,臨床の両面でさらなる進展が期待される.
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