Japanese
English
第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
脳ネットワーク
サリエンスと精神症・統合失調症
Salience and psychosis/schizophrenia
宮田 淳
1
Jun MIYATA
1
1京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学)
キーワード:
異常サリエンス仮説
,
サリエンスネットワーク
,
サリエンシーマップ解析
,
妄想・幻覚
,
領域特異性・共通性
,
計算論モデル
Keyword:
異常サリエンス仮説
,
サリエンスネットワーク
,
サリエンシーマップ解析
,
妄想・幻覚
,
領域特異性・共通性
,
計算論モデル
pp.577-581
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606577
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サリエンス(salience)とは,周囲の環境のなかの “目立つ” 刺激に対して,ハッと注意をひかれ,重要と感じることである.精神症,統合失調症では中脳-線条体におけるドパミン神経活動の過剰により,刺激に対して過剰なサリエンスが帰属され,幻覚・妄想を生じると考えられている.また前帯状皮質,島皮質からなるサリエンスネットワークは,刺激の性質よりもサリエンスに反応することが知られている.一方,視覚系においては刺激の空間的微分,聴覚系においては時間領域と周波数領域における微分に基づくサリエンシーマップが,脳にどのように実装されているかが研究されている.このようなさまざまな領域のサリエンスと幻覚・妄想との間の領域特異性・共通性を明らかにする必要があり,計算論的手法はそのための有望な手法であると考えられる.
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