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第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
脳ネットワーク
統合失調症の階層性データ解析
Analysis of hierarchical data for schizophrenia
小池 進介
1
Shinsuke KOIKE
1
1東京大学心の多様性と適応の連携研究機構,同大学院総合文化研究科附属進化認知科学研究センター,同ニューロインテリジェンス国際研究機構
キーワード:
診断分類
,
生物学的分類
,
機械学習
,
思春期発達
,
Population-neuroscience Tokyo TEEN Cohort(pn-TTC)
Keyword:
診断分類
,
生物学的分類
,
機械学習
,
思春期発達
,
Population-neuroscience Tokyo TEEN Cohort(pn-TTC)
pp.570-576
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606570
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精神疾患の診断は精神科医による面接に基づいており,単一の生物学的基盤というより症候群である.そのため,現状の診断手順に基づく精神疾患研究には限界点を含んでいる.脳磁気共鳴画像(MRI)が精神疾患の臨床研究に応用されて30年余りが立ち,脳病態が可視化されてきた.近年では,機械学習や深層学習を用いた判別分析が普及しつつあり,臨床応用が期待されている.さらに,脳画像に基づいたサブタイプ分類も進みつつあり,現状の診断手順では困難であった生物学的再定義の可能性が拡がっている.これらの検討には多施設大規模データが必須であり,日本医療研究開発機構(AMED)戦略的国際脳科学研究推進プログラム(国際脳)などのプロジェクトが進行中である.今後は,生物学的再定義に基づいた遺伝子解析などに進展することが期待されるため,複数のモダリティを取得した階層性データベースの構築が必要である.また,脳画像で得られる特徴量は,統合失調症の好発年齢である思春期では生理的に10%程度減少する.思春期発達や加齢に伴って複雑に変化する脳特徴のライフコースを,より繊細に描出する計測と解析技術が必要となる.
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