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第1土曜特集 統合失調症の未来――研究と治療
脳ネットワーク
統合失調症における脳内意味ネットワーク異常と連合弛緩
Disorganized semantic brain networks and loosening of associations in schizophrenia
松本 有紀子
1
,
髙橋 英彦
2,3
Yukiko MATSUMOTO
1
,
Hidehiko TAKAHASHI
2,3
1日本医科大学大学院医学研究科精神・行動医学分野
2東京医科歯科大学大学院医学系研究科精神行動医科学
3同脳統合機能研究センター
キーワード:
統合失調症
,
連合弛緩
,
脳内意味ネットワーク
,
エンコーディングモデリング
,
fMRI(functional MRI)
Keyword:
統合失調症
,
連合弛緩
,
脳内意味ネットワーク
,
エンコーディングモデリング
,
fMRI(functional MRI)
pp.583-587
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28606583
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統合失調症の連合弛緩にみられる意味関係の異常は,これまで心理実験により検証されてきたが,その脳内機序は不明であった.本稿ではまず,ものの意味関係を表す “意味ネットワーク” の理論的枠組みを概観した後,脳活動に基づく意味ネットワークの構造特性を評価した筆者らの研究を紹介する.自然動画提示下fMRI(functional MRI)データに自然言語処理アルゴリズムとエンコーディングモデリングを適用して脳内意味表象を定量化し,その類似度に基づく脳内意味ネットワークの構造を評価した.その結果,統合失調症患者の脳内意味ネットワークは健常人よりもスモールワールド性が減少し,ランダム化していることが明らかになった.本研究の手法は患者の主観的体験を脳活動から直接評価できる点で,精神科医療における新規診断・治療法開発への応用が期待される.
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