Japanese
English
TOPICS 細菌学・ウイルス学
バイオフィルムにおける黄色ブドウ球菌の薬剤耐性獲得
Acquisition of antimicrobial resistance in Staphylococcus aureus biofilms
森川 一也
1
Kazuya MORIKAWA
1
1筑波大学医学医療系感染生物学(細菌学)
pp.284-285
発行日 2023年7月22日
Published Date 2023/7/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28604284
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黄色ブドウ球菌とバイオフィルム
黄色ブドウ球菌属Staphylococcus aureusは,約3割の健康なヒトの鼻腔・皮膚や,動物に常在する日和見感染菌である.現在では約60種以上が知られるブドウ球菌属細菌のなかで黄色ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌,腐性ブドウ球菌などが臨床上,特に問題となる.なかでも最も臨床的に重要な黄色ブドウ球菌はさまざまな病原因子を獲得しており,化膿性疾患,敗血症,肺炎,食中毒,毒素性ショック症候群など多様な感染症の原因となる.本菌は食塩耐性で,10%の食塩存在下でも増殖することができる.また乾燥にも強く,乾燥表面で長期間存在することができ,これは院内環境で手すりなどを介して感染を広げるのに重要な特徴である.本菌によるバイオフィルム感染症には心内膜炎や骨髄炎などがあり,また体内に留置した人工物表面にバイオフィルムを作ることも多い.一般にバイオフィルムを形成した場合は抗生物質による完治は困難で物理的な除去が必要となる.
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