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バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)とヘテロVRSA
花木 秀明
1
,
平松 啓一
1
1順天堂大学医学部細菌学
pp.713-717
発行日 1998年7月1日
Published Date 1998/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903571
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■バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)の出現
バンコマイシンはグラム陽性菌に強い抗菌力を有する薬剤として,1950年代から臨床使用されてきた.しかし,臨床で40年以上使用されてきたにもかかわらず,黄色ブドウ球菌はこの薬剤に対して耐性を獲得することはなかったため,耐性菌の出現しにくい薬剤として汎用されてきた.わが国では,1981年に消化管殺菌剤として承認されたが,1991年にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Samphylococcus aureus;MRSA)感染症治療薬の静注剤として承認された.MRSA感染症の拡大に伴い,バンコマイシンの使用量が増大したことは,バンコマイシン耐性菌の出現と関係する可能性がある.
1996年,バンコマィシン耐性黄色ブドウ球菌(vancomycin-resistant Staphylococcus aureus;VRSA・Mu50株)が当教室で検出された.このMu50株は,約1か月間にわたってバンコマイシンの投与を受けたにもかかわらず,症状の改善が認められないばかりか,徐々に悪化傾向にあった生後4か月の乳児の術後縫合部位膿瘍から純培養的に分離されたMRSA株である1〜3).
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