日本人の顔の変遷—古代人の顔の復元から

Secular changes in the Japanese face, referring the reconstructions of ancient Japanese faces

　日本人の顔は，2つの要因によって変遷を遂げてきた。1つは，縄文時代に日本列島で形成された集団と，弥生時代以降に大陸から移住・拡散してきた集団，つまり系統が違う両集団の混血である。もう1つは，系統の違いにかかわらず，食生活の近代化による顔面構造の虚弱化である。

　古代人の顔をイメージしやすくするため，頭骨から推定された復元像を示すことがある。復元にあたっては，解剖学的な知識による筋肉や鼻軟骨あるいは皮膚の厚さだけでなく，集団がどのような環境に適応していたかという観点から，耳，眼，唇，髭，眉などが再構築される^1）。